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小平糧うどん - 東京 小平「小平ふるさと村」

東京 小平・「小平ふるさと村」を訪ね、「小平糧うどん」をいただきました。

 

「小平ふるさと村」は、50m四方ほどの小さな敷地内に、江戸時代の初期に玉川上水の開通と共に開拓された新田村落の住居遺産をはじめとして、江戸時代の中期、後期、明治のころの建物を移築復元した施設です。

 

この施設のうち江戸時代後期の建屋では、土日など特定の日にのみ、50食程度の限定数量で「小平糧うどん」が販売されます。

 

 小平の糧(かて)うどんてなんだそれ?おいしそう!ということでいただいてきました。 

 

アクセスと利用方法

この施設は飲食店ではなく、うどんをいただくにはツボを抑えて利用することになります。

 

まずアクセスについて。

「小平ふるさと村」は西武新宿線の花小金井駅と小平駅の中間あたりにあります。

鉄道を利用する場合、施設は多摩湖自転車道沿いにあるため、各駅から並木道の景色を楽しみながら歩くのも気持ちが良いです。

しかし最寄駅から徒歩で20分ほどかかりますので、あわせて花小金井駅からタクシーを利用したり、バスの利用を検討されるとよいと思います。

自家用車の場合、施設の駐車場は障がい者用のみですので、周辺のパーキングの利用が必須になります。

公開されているアクセス情報をご確認ください。

 

うどんを食べる場合、うどんが提供されている日が極めて限られていますので注意が必要です。

必ず、施設のWebページで「営業日」を確認しましょう

 

また、食券の販売開始時刻が11時からとなっていますが、50食程度の限定となっています。

晴れた気持ちが良い日の13時ごろに訪ねたときは麺が売り切れ、販売終了となっていました。

11時から12時くらいまでに訪ねることをおススメします。

小平糧うどんをいただいてみる

施設の中央に位置する江戸時代中期の建屋に、「小平糧うどん」の暖簾がかかっています。

また、「武蔵野手打ちうどん保存普及会」の名も見られ、本格的な手打ちうどんをいただけることが伝わってきます。

 

この建物のに食券売り場があり、1食500円で購入します。

メニューはなく、「小平糧うどん」の1択です。

 

「中で待っててー」と親戚付き合いのような距離感を楽しみつつ、樹脂製の小さな番号札を受け取り、江戸時代中期の建屋へ入って待ちます。

 

軒先も気持ちよいのですが、保健所の指導の関係で、屋内でのみ食べることができるそうです。

セルフで湯呑にお茶を注ぎ、居間へ上がってしばらくゆであがりを待ちます。

扉が全開で、冬場は寒く、夏場は暑い、極めてナチュラルな環境が実に開放的で心地よいです。

 

通し揚げで、15分ほどの待ち時間を経て運ばれてきた一皿がこちらの盛りうどん。

みてください、このややくすんだ色。

この色でもう、ワイルドな風味があるうどんだとわかります。

 

そしてやや細めながら、このうどんらしい太さ。

太さがあってこそ感じることができる食感と風味が大切にされているようです。

まずはこのまま麺を1本いただきます。

見た通り、小麦の風味がしっかり感じられます。

いいですねぇ~

 

そして頬張るとやや硬い食感があります。

 

JA東京むさしさんの協力のもと小平産の地粉を使用しているとのことですが、品種には農林61号が使用されているような特徴です。

 

続けてつけつゆを味わってみます。

 

つけつゆは醤油ベースで、曖昧な表現になりますが関東風。

椎茸ときざみ揚げが入っています。

ここに小口切りのネギ、大根、ほうれん草を加えてうどんを漬けていただきます。

 

うどんは1/3か半量程度を浸して具材をほおばると麺の特徴を感じながらいただくことができておススメです。

 

昔ながらの素朴なレシピの美味しいおうどんでした。

ぶらりと散歩

「小平ふるさと村」を散策してみます。

江戸初期の住居が移築復元され、畑がある暮らしの風景が再現されています。

日本の原風景がここにあり、といった感じですね。

 

他にも広場には輪投げや竹馬などもあり、懐かしさを感じることができると思います。

奥へと歩くと、水車も復元されています。

関東平野で多く使われた胸掛け式の水車のようです。

 

こうした居住文化には次のような地形・地質と、江戸時代の新田開拓が背景にあるようです。

・このあたりは東京と埼玉へまたがる武蔵野台地と呼ばれる地形に分類される。

・その地質は火山灰の関東ローム層に覆われ、その下に武蔵野礫層と呼ばれる砂と小石が詰まった層がある。

・つまり水が地下深くへ浸透しやすく地下水位が低いことから、一般に言う水はけが良い場所であり、水が乏しい無水地帯にあたる。

・無水地帯には人が住みにくいが、江戸時代に新田開発で玉川上水と各地へ分水が引かれたことにより継続的な居住が可能となって、農村集落ができるようになった。

 

 

そうした農村の暮らしの中で人は水車を用い、搗き場で米や大麦の精白し、挽き臼で小麦の製粉を行なっていたようです。

 

うどんに関わるところで掘り下げていくと、石臼で行なう小麦の製粉ではふすまが多く混入します。

そして作られた小麦粉は茶色がかり、草のようなワイルドな風味を持ちます。

ふすまは繊維質を多く持ちますから、捏ねても捏ねても柔らかい小麦粉が作られていたのではないか、とうどんマニアの想像が広がっていきます。

 

ところで、明治以降は西洋の蒸気機関の技術と産業革命で機械製粉が発達していきます。

大規模化と合理化が進み、風味を抑えた純白の万能の小麦粉を大量に生産できる時代へと移り変わることで、 私たちは小麦粉の味を忘れ、知る機会もない時代になっていくのです。

 

「小平ふるさと村」の「小平糧うどん」では、江戸時代を回想させるような小麦の味がする手打ちのおうどんを楽しむことができます。

 

冷たい盛りのうどんを楽しめる方、うどんは柔らかいよりしっかりしている方が好みの方におススメです。

また味があるおうどんは小さいお子様にも人気のようで、パクパクとたくさん食べてくれることもあるようです。

天気が良いときにご家族揃って楽しまれてはいかがでしょうか。

 


参考文献

・「玉川上水の分水の沿革と概要」小坂克信 (日野市立七生緑小学校 非常勤教員)